私が「病」ではなく「人」を診る治療を大切にする理由
私が「病」ではなく「人」を診る治療を大切にする理由
こんばんは、横浜明堂鍼灸治療院の〇〇です。
いつもはブログで症状やセルフケアについてお伝えしていますが、今日は少しだけ、私自身の話をさせてください。
私が鍼灸師として大切にしている、ある「教え」についてです。
一流の治療家とは何か?
東洋医学を学ぶ者は、まず初めに次のような非常に重要な言葉を教わります。
「下医は病を治し、中医は人を治し、上医は国を治す」
これは、治療家には三つの段階があるという教えです。
- 下医(三流): 病だけにとらわれ、その場しのぎの施術をしてしまう。なぜその病が起きたのか、どうすれば再発を防げるか、という視点がありません。
- 中医(二流): 病ではなく「人」を診る。症状だけでなく、その人の生活背景や習慣までを理解し、再発しない体づくりを目指します。
- 上医(一流): 国(地域)を治す。人々が病気にならないような社会環境や生活習慣を広め、地域全体の健康を守ります。
ある医師が「国を治した」長野県のお話
「国を治す」と聞くと壮大に聞こえますが、これを現代で実践した有名なお医者さんの話があります。
かつて長野県は、日本の都道府県の中で最も高血圧の人が多い地域でした。山に囲まれ海がないため、昔から保存食として塩気の強い漬物などを食べる文化があったからです。
そこに赴任したあるドクターは、病気の治療をするだけでなく、地域の人々に「減塩」の大切さを根気強く広めていきました。
その結果、少しずつ県民の食生活は改善され、長野県の高血圧は劇的に減少したそうです。
これは、まさしく病気を未然に防ぎ、地域全体を健康にした「上医」の素晴らしい実例です。
私が目指すのは「中医」というあり方
もちろん、私が今すぐ「上医」として国を動かすことはできません。
だからこそ私は、目の前の患者さん一人ひとりに向き合う「中医」でありたいと強く思っています。
例えば、当院に多くいらっしゃるデスクワークによる肩こりや首こりにお困りの方。
そのつらい症状の背景には、ほとんどの場合、ストレスやオーバーワークといった生活習慣が隠れています。
私は、凝り固まった筋肉をただほぐすだけでなく、
「なぜ、これほどまでに凝ってしまったのか?」
という根本原因に、患者さんと一緒に向き合いたいのです。
施術を通じて、ご自身の体や生活を少しだけ振り返るきっかけになることができれば。
それこそが、私が目指す「人を治す」治療だと信じています。
鍼灸師として入門の時に学ぶ言葉から、私の信念をご紹介させていただきました。
これからも横浜のこの場所で、多くの患者さんのお役に立てるよう、誠心誠意向き合ってまいります。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
横浜明堂 鍼灸治療院
院長 石尾夏海
