咳止め・風邪予防に。みかんの白いひらひら「橘絡(きつらく)」の話
12月に入り、みかんが美味しい季節になりましたね。
皆さんは、みかんを食べる時、実についている「白い筋」をどうされていますか?
「食感が悪いから取る」 「あれをきれいに取ってから食べるのが好き」
という方、多いかもしれません。
でも、私たち鍼灸師から見ると、それは少しもったいないんです。
実はあの白い筋には、漢方薬の世界でちゃんとした名前があります。 その名は「橘絡(きつらく)」。
ゴミではなく、立派な「生薬(しょうやく)」の一種なんです。
では、この「橘絡」にはどのような効果があるのでしょうか? 東洋医学では、主に3つの働きがあると言われています。
- 通絡(つうらく): 体のエネルギーや血液の通り道をスムーズにする
- 化痰(かたん): 喉に絡む痰(たん)を取り除く
- 止咳(しがい): 咳を鎮める
みかんの生薬というと、皮を干した「陳皮(ちんぴ)」が有名ですが、この白い筋の部分は特に「肺」の症状を良くするのに有効です。
また、栄養学の視点で見ても注目です。 ビタミンの中でもちょっとレアキャラな「ヘスペリジン(ビタミンP)」という成分が、実の部分よりも多く含まれているのがこの白い筋です。
これは毛細血管を強くしてくれる働きがあるので、末端の冷えが気になる方にとっては、とてもおすすめの食材になります。
今年の冬、咳や冷えが気になる方は、もしよかったら「白い筋ごと」食べてみてください。 きっと体にいいことがあるかもしれませんよ。

