痛いところだけを診ない。将棋の「大局観」から紐解く鍼灸治療の面白さ

6月も半ばに入り、雨で家の中で過ごす時間が増えましたね。私はこんなインドアの時期には、趣味である将棋の盤面を眺めたり、次の一手を考えたりして頭を使うのが密かな楽しみです。
実は、この将棋の思考プロセスと、私が日々行っている鍼灸施術のアプローチには、とても深い共通点があると考えています。本日は、少し視点を変えて「鍼灸治療の面白さ」についてお話しさせてください。
目の前の駒だけを追うと勝負に負ける
将棋には「大局観(たいきょくかん)」という非常に重要な言葉があります。これは、目の前の局所的な駒のぶつかり合いだけでなく、盤面全体を俯瞰(ふかん)して、「今、全体としてどのような状況にあるのか」を把握する力のことです。
もし、目の前で起きている局地戦だけを守ろうと必死になっていると、気づかないうちに別の場所から陣形を崩され、あっという間に負けてしまいます。重要なのは、常に全体を見る視点なのです。
人間の身体も「大局観」がすべて
私が普段行っている施術でも、これと全く同じことが言えます。
例えば、「首や肩こりがひどい」という患者さんが来院されたとします。お仕事は長時間のパソコン作業、お休みの時もスマートフォンを見ているため、目の疲労も非常に重たい状態です。
この方に対し、ただ単に痛みを訴えている首や肩に鍼を刺すだけになってしまうと、最高の成果を出すことは難しいです。なぜなら、首や肩こりの本当の原因が別の場所に隠れていることが多いからです。
もしかしたら、仕事中に無意識の「食いしばり」をしていて、顎(あご)まわりの筋肉(咬筋など)が強く緊張しているのかもしれません。あるいは、目の疲れから額や頭部の筋肉が非常に硬直している可能性もあります。
さらに、デスクワークの姿勢が続くと、脇の下の筋肉や、大胸筋の上部(鎖骨の下あたり)が縮こまって緊張していることも多々あります。こういった離れた部分の緊張を先に見つけ出し、アプローチしていく必要があるのです。
人間の身体を施術する際も、まさに「大局観」です。決して局所(痛い場所)だけにとらわれることなく、全身のバランスを見る必要があります。
繰り返す痛みに悩んでいる方へ
「マッサージに行っても、その時は良いけれどすぐに痛みが戻ってしまう」 そんなお悩みを抱えている方は、もしかすると「痛い場所(局所)」だけへのアプローチが続いているのかもしれません。
横浜明堂鍼灸院では、患者さんの身体全体のバランスを俯瞰し、本当の原因を見つけ出す「根本治療」を行っています。長引く不調にお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。一緒に身体の大局観を見直し、最適な一手を打ちましょう!
(追伸:将棋がお好きな方、ぜひ施術中に私と将棋トークもしていただけると嬉しいです!)

